天皇盃 第21回全国男子駅伝

連覇逃すも、堂々の3大会連続表彰台
明日へとつなぐ、深紅のタスキリレー

連覇が狙えるメンバーが揃った−。レース前、北村亮祐監督は自信の表情を浮かべながらこう語った。「箱根のスター」から、今や日本・中長距離界のホープへと成長した設楽啓太・悠太兄弟、服部翔大の社会人選手、北村監督をして「昨年以上」と実力を評価する中学生・高校生。昨年の天皇盃獲得再現を目指し、埼玉県代表チームは盤石の布陣で決戦の地・広島へ臨んだ。

記録的な寒気が襲来し、小雪が舞う極寒の天候に見舞われた1月24日。47都道府県代表の第一走者が集結した平和記念公園前のスタートラインに立つのは、昨年に続き館澤亨次(埼玉栄高)だ。
12時30分、号砲とともに一斉スタート。序盤は群馬、広島など有力チームが引っ張る展開の中、館澤は自分の位置をキープすることに徹する。5.5キロ地点で先頭集団が絞られるが冷静さを失うことなく、トップ福島から9秒差6位で2区の中学生・円谷光佑(さいたま市立日進中)にリレーした。

2区3kmの勝負。円谷はレース前「前半は落ち着いた走りを心がけ、後半『ここぞ』という場面で力を発揮したい」と語っていた。しかし落ち着く間もなく、タスキリレー直後に混戦から抜け出した群馬がトップへ躍り出ると、徐々にペースを乱してしまう。後半は粘りを発揮し、順位は6位をキープしたものの、トップとは23秒差で3区の設楽啓太(コニカミノルタ)に望みを託した。

昨年は東京都から出場した設楽啓太。今年はふるさと出場選手として埼玉県代表に戻ってきたこともあり「このユニフォームを着て走れることが嬉しい」と素直に心中を表現していた。その想いを体現するかのごとく、設楽はじわじわとペースを上げる。5km地点で2位集団に追いつき、広島、福島、静岡、福岡、愛知、長野のグループで先頭の群馬を追う展開に。最終的にはトップと8秒差まで詰め寄る4位でタスキリレーを果たし、さすがの貫禄を見せつけた。

一気にトップ射程圏内へと上り詰めた埼玉。4区を託されたのは三井貴久(埼玉栄高)だ。設楽啓の勢いをそのままに快走し、1.5km地点でついに群馬を捉えた。そのまま群馬、愛知、広島、福岡とトップグループを形成、4km地点では群馬、広島を振り切り、愛知、福岡と激しいトップ争いを繰り広げた。「2連覇に挑戦できる幸せを噛み締めて走りたい」と語っていた三井。最後残り400mでスパートした愛知に続き、6秒差の2位で同じ埼玉栄高のチームメイト・中村大聖へタスキを渡した。

一高校生区間では一番長い8.5kmを託された中村。「この区間で粘ることが大事」というレース前の言葉通り、2.5km地点で4位から順位を上げてきた広島に追いつかれるものの、しばらくは離されずについていく力走を見せる。しかし、さらに後続から追い上げてきた長野、福岡にも抜かれて5位に後退。トップとの差は65秒差に開いてしまった。

快走するトップ愛知を追うべく、力強く走り出したのは中学生・関口雄大(坂戸桜中)だ。今大会においてテーマとしていたのは「攻めの走り」。ジュニアオリンピックや全日本中学陸上などで全国の舞台は経験済みだが、憧れの選手とともにタスキをつなぐこの大きな大会でも臆することなく、自分らしい攻めの走りを展開する。2kmすぎ「今日は調子がいい。区間賞が狙える」と実感。さらにギアをアップさせると長野、福岡を抜き去り、2位広島にも迫った。最終的にはトップと44秒差の3位に浮上しアンカー服部翔大(Honda)へリレー。見事区間賞を勝ち取った。

2年連続のアンカーとしてチームを牽引してきた服部は、関口が作った流れを受けてスタート。誰よりも連覇を意識し、仲間の想いが染み込んだタスキをかけてゴールを目指す。しかし、この日の広島の寒さは新春の箱根路を経験している服部でさえ厳しいものであった。3km付近、「腹がつった感じ」という痛みに襲われ、次第に順位を落とす。一時は6位にまで後退してしまう予想外の展開となった。しかし、ライバルとの並走になったことでリズムが取り戻せたという服部は11km付近で3位の長野に追いつき、静岡も含めた3位集団でゴールを目指す。そしてゴール直前、静岡・佐藤悠基、長野・矢野圭吾という実力者を振り切り3位でゴールテープを切った。

閉会式後、他県のどのチームよりも多くの陸上ファンに囲まれる選手たちを待つ川尻真総監督は、「3位は悪い結果ではない。しかも4大会連続の入賞、3大会連続の表彰台は立派。胸を張って帰ろう」と笑顔でチームスタッフに語りかけた。目標としていた連覇は惜しくも逃したものの、サポートメンバーまでを含めた全員が持てる力を発揮しての3位。口々に悔しさをにじませたコメントを発しながらも、選手それぞれが次につながる大きな経験を得たのは確かだ。来年22回大会での賜杯奪還は、決して大きなハードルではない。

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